ブッダガヤ母子保健指導プロ ジェクト
イ ンドで赤ちゃんが無事に生まれ、健康に育ちますように...
2010年12月、第一回ブッダガヤ保健指導プロジェクトを始動しました。
波多野あき子(保健師)
インドでは、5歳未満の子どもが毎年183万人亡 くなっています。そのうちの40%が、出産後数週間で亡くなります。また、1年間に7万人もの妊産婦が亡 くなっているのです。このことを知り、何かに背中を押される ようにブッダガヤへ飛びました。
このプロジェクトのコンセプトは「医療を提供するのではなく、保健教育によってインドの人々が、自分たちの力で健康状態 を上げ、子どもたちが無事に人生を生きるができる環境をつくれるよう支援する」ことです。
スーリ ヤ校の女性教師たちは、生徒や村の健康に関 して強い問題意識をもち、現状を語ってくれました。「村でのお産の55%が、何らかの問題があるお産で す」「村では、病院や専門家のもとでお産をする人は皆無で、無資格の産婆さんの手伝いで自宅で産みます」10代で結婚さ せられ、流産を繰り返す女性や、頻 回の妊娠出産で体を壊している女性も多いこと、栄養という概念や知識が乏しいこと、衛生習慣の問題(皿を砂で洗うなど) もあること、などがわかりました。
受診しないのは、経済的な問題だけではなく、健康 に問題があると気付いていないことが大きく、意識変革が必要だと感じました。
ここで、日本の信者さんたちからの寄付で購入した乳児用体重計・血圧計・性教育用の教材などをお渡しし、体重測定の練習 と、血圧測定の練習、教材のデモン ストレーションをしました。女性たちが健康についての問題意識を持つと、子どもたちが健康に育つようになります。女性は 家族の健康の要です。
その後、村に行って、200人の母親たちを対象に健康教育をしました。最前列に並んで座っている女性たちは、どう見ても 10代です。こんな若い母親が・・・まるで娘を見るかのような気持ちで、いとおしさが湧いてきます。
乳児体重計を見せ、赤ちゃんの体重が増えているか を知ると、元気に育っているかどうかを知ることができること。もし体重が増えていなかったら、何が原因か、どうしたらい いのかを一緒に考えたいと伝えました。
それから、おなかの中で育つ胎児の絵を見せました。お母さんがあまり栄養をと れないと、「おなかがすいた」と言っているかもしれない、 「まだお腹にいたいよ」と言っているかもしれない、と、妊娠中の母親の健康が、赤ちゃんに影響していることをまずイメージしてもらえるような話をしまし た。
みなさんとても熱心に聞いておられました。
その後、赤ちゃんの家へ訪問しました。赤ちゃんは、10月22日生まれのプリンスちゃん(男の子)です。生後41日目の 訪問です。とてもいい母乳が出ていたので、よく体重も増え、健康に育っていました。とてもいい赤ちゃんでした。
右の写真は、赤ちゃんの家です。
家庭訪問で問題意識をもったことは、
1.住環境(日当たりと風通しについて)
2.衛生面での習慣(皿を砂で洗うなどの改善)
3.水の管理について
4.食習慣と栄養状態(母親も子どもも)
5.妊娠出産の記録がないこと(母子健康手帳)
6.衣類について(肌着など、汗を吸う素材のもの)
子どもたちが健康に育つために必要なのは、やはり教育なのだと思います。まず健康・衛生・栄養などについての知識を持 ち、問題意識を持ち、共に考えるこ と。母子健康手帳などに記録をすることで、意識を高めていくこと。その後、具体的にミルクの提供や医療支援が役立ってく るのだと思います。
健康づくりの核になれるインドの若い女性を日本に呼び寄せて、医療教育を授け、その人が地元で核となって村づくりをす る・・・そんなシステムを作り、成功させられたら、世界中の貧しい国にも適応できるだろうと思います。
健康を世界中に届けたいと願っています。